2012年3月13日(火)、稲門政経会はファイナンス稲門会と共同で金融セミナーを開催致しました。東京海上アセットマネジメント投信株式会社より代表取締役社長の大場昭義氏、全日本空輸株式会社(以下ANA)より専務取締役執行委員の日出間公敬氏(財務部担当・IR推進室担当)をお招きし、それぞれのお立場から独自の切り口で現在の市場に対する考え方をご講演いただきました。
大場氏からは『株式会社の健全な発展に向けて~運用会社の役割も踏まえ~』をテーマに、投資家の立場から見た株式市場の問題点についてお話頂きました。豊かさを生んできた地域に共通する特徴の一つとして「発達した資本市場の存在」をピックアップし、大場氏自らが作成された豊富なデータを用い、米国・欧州・BRICsといった地域の株式市場の奮闘、そして日本の株式市場の特異さを強調しておられました。
大場氏は、投資家にとって魅力的な企業の条件として、
①商品に独自性があり、価格支配力を持つ企業
②成長地域、新興国に橋頭堡を構築している企業
③長期展望をもって経営を行いやすいオーナー系企業
の三つを指摘した上で、経済産業省新原氏の研究を参照して、分からないことは分かる人にまかせる、コンサルの言いなりや同業者のマネではなく自分達の頭で考え抜く、自社を常に客観視する、事業リスクを直視する、等といった具体的なあり方を提示し、『理念なき行動は、凶器になり得る』『行動なき理念は、価値を生まない』という印象的な言葉でまとめられました。最後に、"価値"を生み出すのは"企業"であることを強調し、企業分析の重要性を訴えたベンジャミン・グレアムの教訓を引き合いに出しながら、IRを盛んに行うなど投資家と企業が協力してWin-Winの関係を築いていくことが日本の株式市場の活性化への近道だとして締めくくりました。
続いて日出間氏からはANAのIR活動について自らの豊富な体験談に基づきユーモアを交えてお話頂きました。IR(インベスター・リレーションズ)とは企業が投資家に対して経営・財務状況、業績動向に関する情報を発信する活動であり、日本語では「投資家向け広報」ともいわれます。
日出間氏がIR活動において気を付けている点といて第一に「文字よりも表、表よりも絵」というモットーを掲げ、とにかく投資家に分かり易くするということを挙げておられました。また、IR活動においては"企業経営のネガティブな意見をどれだけ集められるか?"が重要であると語り、何が障壁で投資を躊躇しているのかを端的に指摘して頂けることを株主への期待として挙げられました。
日出間氏ご自身の豊富な経験から国内投資家と海外投資家の違いについてもお話頂きました。海外投資家の方が経営戦略に関してより核心を突く骨太な質問をいただけることが多いことや、ある業種について国内投資家は同業A社とB社に割合をふって両方に投資するのに対し、海外投資家はA社またはB社のどちらかに100%投資する傾向にあるといったお話は非常に興味深いものでした。
長年ANAのIR活動に携わって来られた日出間氏ですが、切れ味鋭い完璧なプレゼン・返答ができたと感じた時でも投資を頂けなかったり、逆に納得のいくプレゼンができなかった時でも笑顔や人柄の良さから投資をいただけるケースもあったりと、未だに試行錯誤の連続であると語っておられました。最後に、今後IR活動を行っていく上での目標として「エディンバラ・ボストンの投資家に買ってもらう」ことを挙げ、更なる海外でのIR活動への意欲を見せておられました。
大場氏・日出間氏両氏の講演後の質疑応答においては、国内投資家の未成熟さという点について意見が飛び交い、大場氏は株式についての正しい教育と認識の徹底、そして株式投資の成功体験が国内投資家に必要であると述べるなど、非常に活発で有意義なものとなりました。
懇親会では、フィデリティの蔵元氏の音頭のもとに乾杯がなされ、ファイナンス・政経両稲門会で交流が深められていました。参加者からは、「こういう機会に様々な稲門会員同士で親睦を深めることができるのは素晴らしいことだ」と感想が寄せられ、参加者は親睦を深めることができていたようです。更に、今回は新しい試みとして、現役学部生もイベントを開放しました。学部生も慣れないながらも交流を行っていたようです。懇親会も盛況のうちに終わりました。
文責:大島 隼(稲門政経会学生支部・政治経済学部2年)
